・座標塾での後方交会・既知点は原則
着工時に設置した基準点 と
補助基準点
土木工事では計画に伴なう 現況+用地測量等の基準点があれば必ず利用し
建築工事では境界点と
引照点が建物配置の基準となれば着工時に使用する
しかし 近年の敷地境界に関する成果座標 (提供資料) では
衛星測位システムGNSS・平面投影補正・結合誤差等を考慮した成果もあれば
国家座標でも許容誤差として無視した成果もある
(特に民間成果では曖昧)
一筆だけの敷地 (地番ひとつ) 等は無補正の土地登記図も多い
(点検値と一致)
建築工事では無縁な要因も 建物配置に関連する事となると無視できないが
「誤差ありき」の基準点等の使用機会は建物位置出しの着工時のみに留める
更に盛土, 公有水面埋立等の敷地では経年変位による誤差拡大にも【要注意】
・建築関連の人は土地境界, 国家座標と聞いただけで専門外と思わず 恐れず
成果座標差による点間距離には誤差が伴なう事は「想定内」として着手する
例えば 成果座標差・点間距離100.000m の点検観測値が100.012m なら
誤差が12mmであり過ぎなのか? 許容値内でOK なのか? ここでは
誤差ではなく
「想定内」と判断できる 成果座標差の点検方法について 解説!
先ずは 成果座標差による点間距離の内訳 を理解・想定する事から始める!
※ 以降のややこしい補正の話は 後回し (その都度 要確認) にしてOKデス!
とりあえず「誤差ありき」前提の
◆ 予防と対策 へ スキップ!
▼ ややこしい話は 境界点等の辺長が不一致となる要因「補正の有無」について
・近年の基準点は衛星測位システムGNSS にて設置され 更にTS展開された網点
それらを与点とした境界測量の成果は
球面上での観測を補正した 国家座標!
提供される成果座標は
球面上から平面に投影された平面直角座標での位置
※ GNSSにて設置した時点で平面直角座標 更に展開された網点も補正が絡む
・TS 観測による成果値は平面直角座標に至るまでに 下記@〜Cの補正を伴なう
それぞれには ややこし補正が施されている事を
薄っすらと知っておく・・・
@ 球面上 2点の異なる水平面が存在する測量では 球差と光の屈折誤差を補正
近年GNSS観測が主流となり この補正を要する三角点等でのTS観測は皆無
⇒ 球面上でのTS観測値には 両差 (球差と気差) と標高投影による補正を施す
A 観測値は球面距離で 図面は水平面距離となるため 投影係数と分割で補正
GNSS観測による成果座標も@A補正後の座標系と同じ土俵 (世界測地系)
⇒ 球面距離を平面距離に補正するため @TS観測値に縮尺係数が乗じられる
※ 縮尺係数については「国土地理院ウェブサイト」の
平面直角座標系 参照
GNSS設置 又は 既設 公共基準点等への結合トラバース測量でも@Aは考慮
そして投影距離の限度は
日本全国19の座標系に区分する事で抑えている
※ 19の座標系は「国土地理院ウェブサイト」の
19の平面直角座標系 参照

▲ GNSS 観測による公共基準点へ結合をする場合でも @Aの補正は必用!
B 「基準点測量には必ず誤差は存在する」ので つじつま合わせの補正が必用
⇒ 結合, 厳密網計算等にて結合, 接合点に整合する様 XY誤差の均等割付補正
C 境界点は@AB補正後の基準点から放射観測・測設されるが A補正は必用
⇒ 境界測量は縮尺係数を考慮した距離にて放射観測計算・測設を実施する
但し
境界測量 特に測設では 許容値内として Aを無視する人が意外と多い
※ 土木工事では規模・許容範囲・用地関連で 温度差あれど 原則 無視できない
一方 建築工事では建物が敷地に程よく納まればOK
上記補正など眼中になし
⇒ 補正を経た座標差 点間距離と
全く補正なしのTS 観測値では当然 不一致!
(建築測量は 任意座標・TS 観測値補正なし・縮尺係数は常に1.0 の放射観測)
建物位置出しの際 (境界からの展開時) 「誤差は当然」で開始する!
◆ 予防と対策は
▼ 最小限のややこしい話 要約 ⇒ 辺長が不一致の要因 ⇒ 「補正の有無」
@ 両差 (球差と気差) 補正と投影補正 ⇒ 近年は衛星測位システムGNSSにて
A 日本全国19の座標系区分と
球面距離を平面距離に投影する縮尺係数
B 結合・厳密網計算等で結合・接合点に整合する様 XY誤差の均等割付補正
C @AB補正後の基準点から放射観測・測設される境界点もAの補正は必用
@の補正はGNSSの基準点, 公共基準点等を与点とした時点で関連しているが
建築測量では 補正値が発生する程の延長・高低差の環境ではないので@ 無視
※ 例えば 現場規模が200m 程度の区画において
▲ 測定距離 200m, 高低差30mでも
両差距離補正 1mm 以下なので 無視OK
▲ 海抜150m 吊橋塔頂間で測距する様な観測はないので
投影補正 無視OK
※ まだややこしいが 平面距離に投影するA 縮尺係数とB 結合補正は要理解
(縮尺係数については「国土地理院ウェブサイト」の
平面直角座標系 参照)
◆「誤差ありき」で予防する事は
一方の既知点に偏らない建物配置とする事
そして 対策を講じるためには 成果座標差距離Zの内訳を想定する事が重要!
点間距離誤差の要因「A補正 S」「B結合補正 K」「変位 H」の要因を探る
具体的には「縮尺係数・補正値 S」「結合計算 補正値 K」「変位 H」の有無
これらSKH の関連を考慮して
バランス良く建物が配置されるよう対策する
★★ そこで役に立つのが【 後方交会 】と【 縮尺係数の設定 】
更に その点検と並行して実施する
施工基準点の設置 ⇒
その観測点が重要
= 施工基準点を放射観測するTS設置点 =
施工範囲の中心点 の設置がゴール
⇒「誤差ありき」との接点は
放射観測での後視点 1点までに留めてお役御免!
・話が横道にそれて 延々と続いてしまうので・・・
ゴールと結果次第で変る
対策の詳細は
【 境界点からの展開 】にて解説予定!
そして ここでは
誤差の正体を見抜く判別方法 (答え合わせ) の解説まで!
▼ 「SKH 有無」の判断材料として 以下の情報 (ネタ) が必用になってくる!
・建物配置図以外に
敷地丈量図、測量報告書等 の存在を確認し
入手する
(公共事業の場合 必ず測量成果報告書があるので各要因の点検だけで済む)
・敷地が公共事業に関連していれば 提供座標は@〜Cの補正を経た公共成果で
敷地が民地なら丈量図, 土地登記図等の基準 (引照) 点と座標系表記を確認
(境界点の設置環境・視通環境・変位次第で引照点等が必用となる事態もある)
・桁数から一見 国家座標に見えても補正の有無は?
基準点測量の補正はするが
境界測量や測設では許容値内としてC補正省略 の成果も多い (GNSS+AB)
故に境界点より丈量図・測量資料等の
基準点を点検する方が正解に近づける
▼ 境界点以外に 登記引照点・多角点等の表記があれば 利用可能か踏査!

・引照点とは境界点設置不可 又は滅失した時の復元用に設置された控点

・多角点とは現況・境界測量等のために設置されたトラバース基準点
⇒ 境界点間と基準点間を 直接 又は対辺測定にて 実測し 辺長差を事前点検
(複数ある場合は 基準点を与点とし 放射の座標測定にて座標差を検証する)
・先ずは「変位の可能性」⇒ これを検証して排除しないと次には進めない
誤差が50mm以上であれば 変位の影響を疑い 敷地の周辺と成立ちを確認する
周辺構造物にクラックや継目の隙間, 水路に堆積砂等あれば地盤沈下の影響大
軟弱地盛土, 公有水面埋立等の造成地では経年変位が誤差を拡大させた主要因
沈下だけなら辺長誤差は? 杭傾斜, 転倒等があれば 引照点との整合性で判断
但し 引照点も敷地周辺であれば 同様に変位している可能性がある・・・
※ 「変位あり」の場合は
【 境界点からの展開 】にて解説予定・・・
・次に「変位無し」と判断できれば 「成果座標差の点間距離Z」の中に
「縮尺係数・補正値S」「結合計算 補正値K」の要因が有るか無いかを探る
⇒
成果測量時の観測値Aを概算想定して点検観測値Cとの差を検証 する
※ 縮尺係数 1.000000 前後 or 短距離では想定できない場合あり
● 国家座標 成果測量時の観測値Aは 測量報告書 (手簿, 計算書) 等がない場合
成果座標差の点間距離Z はA平面補正距離 + B結合補正値K の計算式で探る
Z = 成果測量の観測値A×縮尺係数 + 結合補正値K
よって 成果測量の観測値A = ( Z − 結合補正値K )÷ 縮尺係数
・成果測量時の観測値Aを概算想定とは
結合補正値K と器械別誤差 (成果と点検時のTS校正状態) の程度は不明なので
とりあえず
結合補正値K をゼロと仮定して 暫定観測値zAを算出してみる
※ 暫定観測値zAは結合補正値Kと成果測定
TSのクセが絡んだ近似値となる
成果測量の暫定観測値zA ≒ 「 Z ÷ 縮尺係数 」
◆ この暫定値zAと点検値Cの差Gで 概ねAとBの補正が施されたか想定できる
(※
判断はTS の測距精度+α程度 ⇒ 差Gが±3mmならABの補正は有判断)
(例.1)Z 100.000m , 縮尺係数 0.999900 , 点検観測値C 100.012m の場合
成果測量の暫定観測値zA = ( 100.000−0 ) ÷ 0.999900 = 100.010m
AB補正の有無Gは C−zA にて想定 ⇒ 100.012−100.010 = +0.002m
Gが±3mm以内なので座標差 点間距離ZはAB 補正後の成果値と概ね整合か
★ 「C−Z の12mm 」は誤差でなく「縮尺補正ありで整合」が正解!
(例.2)Z 100.000m , 縮尺係数 0.999900 , 点検観測値C 99.998m の場合
成果測量の暫定観測値zA = ( 100.000−0 ) ÷ 0.999900 = 100.010m
AB補正の有無Gは C−zA にて想定 ⇒ 99.998−100.010 = −0.012m
Gが±3mm以上なので座標差 点間距離ZでA 補正は無しの可能性あり
★ 「縮尺補正は 無し」として点検値は 「C−Z の−2mm 」で判断!
▼ 平面直角座標と縮尺係数については
【国土地理院・平面直角座標系】参照
▼ 全国19の座標系区分番号は
【国土地理院・全国19の平面直角座標系】参照