建築工事測量【 座標塾 】 誤差の原因 TSの盲点



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  ▼ TSの盲点「クセ」が理解できれば一歩前進デス! ただし・・・

 
× 残念な控杭・・・もう卒業です!
 
■ わざわざ外注した控杭も無駄にする事が多くないですか? 
 
▼ 着工時、依頼により控杭を設置しますが・・・↓写真の通り
 



▲ 測量しない監督さんの現場は控杭を大切にしない(↑写真)
 
● 誤差の原因について述べる前に    

 平行直角の墨出しなら
 
 トータルステーションさえ使えれば誰でも簡単に出来る!
 
 と思っている職人さんがいます。(測量しない監督さんも)
 
 しかし・・・
 
 測量設計コンサルタントの測量士は建築工事測量が苦手です。
 
 基準点・現況・路線・用地・開発関連の測量に携わっていても
 
 視通障害・基準点(控杭)の変位・シビアな工程と精度要求・・・
 
 建築工事の墨出しは経験とノウハウがないと対応出来ません。
 
 私もコンサルタント出身者で、苦手(ホントに嫌でイヤで苦痛)でした。
 
 しかし、建築工事測量のおかげでTSの盲点に気付き、
 
 誤差の原因究明とその対策を検討する事で
 
 ★ 時間短縮と精度アップを可能にするノウハウを確立しました。
 
 ※ それを可能にしてくれたのは
 
 
 
 
 
 ※ 建築工事測量・初心者の方へ・・・
 
    ここから先は少々ややこしい話もあり
 
    実務経験がなければ伝わり難い事もあります・・・
 
    簡単!【座標塾】ゆえに、先ずは上記項目(クリック)から!
 
    その後、続き ▼をどうぞ!
 
 

 ■ 当サイト内で表記している単語、観測環境条件等について
 
「座標塾では説明上、下記の通り ・○○の表記、※条件の考慮について」
 
・真値 ⇒不確か・存在しない値ですが基準値、最確値では伝わりにくい。
 
・校正状態 ⇒ 計測機器が仕様精度内である事が確認された状態とする。
 
(本来、校正とは不確かさの確認のみで、精度の合否・調整は含まれない)
 
※両差(球差、気差)補正と投影補正は考慮無し(設定 Off)とする
 
※平面直角座標系:縮尺係数は原則考慮しない(係数設定は1.000000)
 
※縮尺係数は公共座標境界点を基準とした建物位置出しの場合のみ考慮する
 
  
 
● 誤差の原因【距離編のみ】 TSの盲点とは?


 TSは組立完了の段階では、その製造過程や構成部品の特性等により、
 
 真値に対して常に一定の誤差をもちあわせています。
 
 この誤差はTS中心から光源までのズレが主な原因で、
 
 「器械定数」と呼ばれ、TS出荷検査時にゼロに調整されています。
 
 反射鏡にも厚み、屈折率、シフト量により独自の定数が存在します。
 
 ・この定数も変形、破損等がない限り変化はありません。
 
 ・現在使用している反射プリズムの定数はご存知ですか?
 
 ・TSに設定されている定数は間違いありませんか?その変更方法は?
 
 ★ メーカーではこれらの定数+測定値=真値となるよう調整します。
 
 器械定数も反射鏡定数もほとんど変化する事はありませんが、
 
 測定回数差と器械定数により「器械定数誤差?」が発生します・・・
 
 しかし、この誤差は「校正状態の悪化」とはほとんど関係ありません。
 
 器械定数誤差と校正状態の関係については ⇒ こちらを参照!
 
   ※ 参照は DocuWorks閲覧専用のビューアーソフト(無料)で!
 
 ★ 校正悪化の原因は一概に断定できませんが、施工前にその異変
 
   に気付く事ができる「点検用の不動点」を現場に設けておく!
 
点検用不動点
 
 ■ 座標塾では反射鏡の使分けも必要で、定数の存在は認識を!
 
 ( 反射鏡の種類と定数の設定・登録そして変更方法等は確認!)
 
プリズムその他
 
 ● 反射鏡にも色々種類があり、独自の定数が存在する。
 
 
 デジタル表示の角度と距離は当然誤差を含みます。(仕様書参照)
 
 しかし、デジタルゆえその数値には狂いがないと錯覚する人が・・・
 
 日本産業規格(JIS)で「器差」と呼ばれる計測用語があります。
 
 【 器差とは「測定器が示す値から示すべき真の値を引いた値」と定義 】
 
    (上記:TS独自に存在する器械定数誤差とは別ものです!)
 
 ★ 周知しておきたい事は 器差=「表示値−真値」⇒「TSのクセ」
 
   その「クセ」は距離毎に存在し、(+)もあれば(−)もある。
 
 ■ このクセが次第に拡大していくため、校正周期は短く!
 
TS毎の器差(クセ)の違いは ⇒ 【図説1】を参照!
 
  ※【図説1】は DocuWorks閲覧専用のビューアーソフト(無料)で!
 
 
 ■ 先ず確認デス!
 
 現場環境(特に振動)、使用頻度、取扱い方にもよりますが、
 
 着工時は校正状態のTSも、次第に器差のバラツキが拡大しやすい
 
 傾向のTSがあります。( ⇒ 器械定数誤差の発生確率が高いTS)
 
 要注意は製造年の古いTSデス!(昭和年代から平成14年頃まで?)
 
  その理由として考えられるのは
 
 ・元々の精度 + 光源部品(発光ダイオード等)の老朽化(寿命)
 
 ・光量設定等が人によるアナログ調整作業のため個人差あり?
 
 ※ 近年はノンプリ観測を可能にするレーザダイオードで精度Up
 
   TSの測距精度は年代別に下記程度が標準だったと思います。
 
  (▼ メーカーにより違いあり、ご参考程度に留めて下さい。)
 
  精度表示は統一されており   「±Amm+Bppm×D」で表示
 
 (Dは測定距離で単位はmm 3kmなら+2ppm×Dは+6mm)
 
  昭和年代のTS測距精度は     ±5mm+3ppm×D
 
  平成14年頃までのTS測距精度は ±3mm+2ppm×D
 
  平成15年頃から約10年間は   ±2mm+2ppm×D
 
  ● 墨出し作業で使用するTSの測距精度はAのみの注目でOK!
 
 ※ 測距精度Aが悪ければ、その分バラツキ幅も大きくなります。
 
使用TSの精度確認
 

↑「公益財団法人
 日本測量調査技術協会
  ・ホームページ」へ

 

★ 現在使用しているTSの
 
 「測角・測距精度と製造年」を
 
 確認してみよう!
 
  (平成24年10月1日まで確認可)
 
● 左画像クリックで
 
 【地上測量機器性能表】の
 
  3)トータルステーション
 
  各メーカーの
 
  機種/型式から確認出来ます。
 
  
 
 
 ●計測機器の校正証明書に注目しよう!
 
 使用TSの校正(点検)結果・検査成績書(校正証明書)の
 
 内容を確認した事がありますか?
 
 TSには同じ機種/型式でもそれぞれ個別の「クセ」があります。
 
 TSのクセは検査(点検)結果・検査成績書の中にヒントがあります。
 
 ★この認識がないため、多くの方は現場で混乱する事に!
 
 ▼「 墨出しの苦手意識 」は次の事例から始まる!
 
 ★ 具体的な例で説明します。【 器差 ⇒ 表示クセ 】
 
@ 着工から3ヶ月、高低差はあるが、見通し良好の直線上
 
  A点にTSを据え、7.000m毎にマーキング(印)BCDを設置!
 
 その後、ABCD点にて直角の墨出しを実施する予定とします。
 
 AB間: 7.000m表示値で印をしたが【真距離+2mmの表示クセ有】
 
 AC間:14.000m表示値で印のはずが【真距離-1mmの表示クセ有】
 
 AD間:21.000m表示値で印も同様に【真距離-1mmの表示クセ有】
 
 真の距離:AB間=6.998m ,AC間=14.001m ,AD間=21.001m
 
    よって BC間=7.003m ,CD間=7.000m ,BD間=14.003m
 
 盲点1: 7mの観測で+2mmの器差がある事を認識していない事!
 
 盲点2: 14m以上では逆に-1mm器差(マイナス傾向)である事!
 
 盲点3: その結果、BC間が7.003mである事に気付いてない事!
 
☆ ここから先はややこしいので ⇒【図説2】でどうぞ!
 
 ※【図説2】は DocuWorks閲覧専用のビューアーソフト(無料)で!
 
A B点にTSを据え、BA間 ,BC間 ,BD間を観測した場合
 
 BA間:観測(表示)値は 6.998+0.002= 7.000m(±0mm)
 
 BC間:観測(表示)値は 7.003+0.002= 7.005m(+5mm?)
 
 BD間:観測(表示)値は14.003-0.001=14.002m(+2mm)
 
 CD間計算:14.002-7.005=6.997m(-3mm)
 
 AC間計算:7.000+7.005=14.005m(+5mm?)
 
何で5mm差
 
▼ 完璧と思いきや・・・何でBC間で5mmも差が出るの?
 
 ※ AでBを2mmC方向へ、CをB方向へ1mm移動すれば誤差の
 
   分散はできるが、なぜ5mmの誤差が発生したか?
 
   分からないままTSを移動すれば
 
   器差(クセ)の認識がないため、新たな混乱が発生する。
 
B C点にTSを据え、CA間 ,CB間 ,CD間を観測した場合
 
 CA間:観測(表示)値は 14.001-0.001= 14.000m(±0mm)
 
 CB間:観測(表示)値は 7.003+0.002=7.005m(+5mm?)
 
 CD間:観測(表示)値は 7.000+0.002=7.002m(+2mm)
 
 AB間計算:14.000-7.005=6.995m(-5mm?)
 
 BD間計算:7.005+7.002=14.007m(+7mm???)
 
C D点にTSを据えDA間 ,DB間 ,DC間を観測した場合
 
 DA間:観測(表示)値は 21.001-0.001=21.000m(±0mm)
 
 DB間:観測(表示)値は 14.003-0.001=14.002m(+2mm)
 
 DC間:観測(表示)値は 7.000+0.002= 7.002m(+2mm)
 
 AB間計算:21.000-14.002=6.998m(-2mm)
 
 BC間計算:14.002-7.002=7.000m(±0mm)
 
訳が解らない
 
   ▼ TSを移動するたびに区間長が変わり、訳が分からなくなる。
 
  ★ TSの表示距離に隠れているクセを認識しておく!

 TSのクセは検査(点検)結果・検査成績書で確認できます。
 
 以上、実際の業務で思い当たる節がある方は・・・納得?
 
 想像もしていなかった距離誤差(クセ)の「からくり」かと・・・
 
 公共測量作業規程の準則で定める検定有効期間は1年間ですが
 
 それは主にコンサルタント業務(公共測量)における校正周期であり、
 
 振動、ホコリ、据付回数の多い建築工事測量では適切とは思えません。
 
  ▼ 器差は知らぬ間に悪化している。見落とすと手遅れに!
 
    まるでサイレントキラーの如く増殖し致命傷を・・・
 
    手直し工事となる前に気付く心掛け(随時点検)が必要!
 
 
 ※【図説2】は DocuWorks閲覧専用のビューアーソフト(無料)で!
 
 ● この盲点(誤差の原因)が理解できれば一歩前進デス! 
 
  但し、くれぐれもこのクセを根拠に印等を移動操作しない!
 
  混乱を招くだけなので・・・厳禁デス!(体験談より)
 
  何故なら、誤差の原因は他にも沢山あるから・・・ 
 
  クセの認識だけでは歪み誤差等の解消はできません!
 
 ☆ 「一歩前進」から近道へ!(TSのクセによる混乱回避法)
 
 「点検・調整済のTSを好環境下で使用し、得られた区間距離
 
  TSを同一直線上に移動させてその同区間を観測した場合、
 
   TSのクセにより5mmの誤差が発生する事にアルアル!」
 
    と承知していれば前進! 混乱すればそのまま停滞!
 
   そこで、TSのターニング数を減らす必要性に気付けば、
 
 ☆☆ 「歪み誤差を抑える近道」につながります。 
 
 ▼ 水平・鉛直角度にも器差は存在しますが、対回観測等により
 
   「消去と器差の拡大・悪化」が確認できます。
 


 
● 誤差の原因 プリズム「正対」よりも大切な事!

 ★ 近距離(特に3m以内)で発生する誤差とその原因!
 
 TS仕様書の精度補足説明欄に記載されている
 
 【定数0プリズムの場合、10m以下測定時には正対させること】とは?
 
 プリズムの「正対」には上下(鉛直)と左右(水平)の方向があります。
 
 特に3m以内での近距離測定の場合、「正対」する動作は重要です。
 
 しかし、面倒臭いので適当にTSのレンズ方向に向ける程度が実情です。
 
 ◆ 距離測定の場合、上下左右の何処を視準すれば良いのでしょうか?
 
 左右方向(水平角)は観測点(又はポール)を直接視準すればOKです。
 
 近距離測定の場合、上下方向(鉛直角)の視準はとても大切ですが・・
 
 定数 0のプリズムでは精度確保と構造上、仰俯角に限度があります。
 
 そのため、近距離では上下方向に「正対」出来ない場合もあります。
 
プリズム上下正対困難
 
▼ 3m以内での近距離の場合、完璧な「上下正対」はなかなか難しい!
 
 ◆ そもそもTSは何を観測(測定)しているのでしょうか?(距離編)
 
 TSは反射プリズムまでの斜距離を計測しており、表示された水平距離は
 
 斜距離と視準した鉛直角にて算出された値です。(高低差も同様)
 
 観測(測定)値は斜距離であって、水平距離と高低差は計算値です。
 
 実は完璧でない「正対」でも、斜距離の誤差はほぼ発生しません!
 
 反射プリズムは測距光をTS距離計へ均等に戻す構造であるからです。
 
 よって水平距離と高低差の数値は鉛直角の視準次第で変動します!
 
 
★ 誤差原因は「正対」よりも上下(鉛直角)の視準差にあり!
 
☆ 斜距離と鉛直角差による誤差は ⇒【図説3】にて!
 
 ※【図説3】は DocuWorks閲覧専用のビューアーソフト(無料)で!
 
 近距離測定(3m以内)の場合、完璧な「上下正対」が出来なくても
 
 反射プリズム視準高の目印となる「角=ツノ」を視準すればOKです!
 
 そのためには「左右正対」が必須となります。(下記写真参照)
 
完璧正対でなくでもOK
 
★ 「左右正対」させる事で、鉛直視準用の「角」ラインが水平に揃う!
 
  ■ 反射プリズムの鉛直角視準は戸惑いますが・・・
 
  【座標塾】では
 
  ★ 反射プリズムの替わりに反射シートをおススメします!
 
   【 反射シートにも上下左右の測距入射角制限はありますが!】
 
   ☆ 反射シートのススメ ⇒ 原則論はこちら
 
  ・実際に「正対の場合」と上下・左右にずらして計測してみれば
 
    その観測値の違いが実感できます。(動画作成・準備中!)
 

 
 
● 誤差の原因ですが・・・「極論へ」 

 外注にて設置した控杭(墨)を使用しても、工事の進捗に連れて
 
 通り芯間のスパン長と直角の不整合(歪み誤差)に直面します。
 
 先の器差に加え誤差には様々な原因(要因)が考えられます。
 
 誤差の原因を放置していると手直し工事へ発展する事も・・・
 
 ★ 誤差の原因(要因)を種類別に整理すると
 
 1.気象条件(陽炎、高温多湿、降雨、降雪、強風等)
 
 2.現場環境(資材・重機・残土・高低差・排気等による視通障害
 
 3.工事進捗(掘削・荷重・接触等による基準点、控杭の変位・滅失)
 
 4.人的作業誤差(視準、据え付け、手振れ、マーキング等)
 
 5.補助具の不具合(気泡の精度、ポールの歪み、三脚の緩み等)
 
 6.使用器械の校正状態(TSの器差とその拡大)とスペック
 
 7.基準点(控杭)の精度、作業手順・方法
 
 (※ 計算・座標入力ミス、設計変更の見落し等は誤差ではない!)
 
  誤差(平行直角の歪み)の原因(箇所)が把握できないと
 
  修正措置の着手および作業継続に支障がきたされ
 
  次に進めません!
 
   誤差は上記要因の「複合と累積」により拡大していきます。
 
   5 の要因は常時点検と調整・交換する事で回避出来ます。
 
   しかし、1〜4 の要因は軽減出来ても回避は出来ません。
 
  【座標塾】では
 
  上記 6 , 7 の要因を検証する事で達した「極論」
 
 
  建築工事測量における誤差の原因は
 
 「 控杭とターニング(据付移動)の数だけ  
 
   平行直角が歪み、TSの盲点で、更に混乱する!」
 
  ※ 解決方法・対策は単純に「その数を減らす事」
 
         「器差の少ないTSを使用する事」デス!
 
    ☆「控杭とターニング(据付移動)を減らす方法」はこちら
 

 
 ☆☆☆ そうだったのかぁーーーー!
 
     
 

            
誤差の原因を理解し、解決する方法!
 
●まとめ
 
・点検調整済みのTSでも器械独自の器差(クセ)がある!
 
・そのクセは校正結果・検査成績書で確認できる!
 
・ただし、認識したクセを根拠に現場では調整しない!
 
・反射プリズム「正対」よりも鉛直角の視準に注意する!
 
・控杭とターニング(据付移動)の数を減らす!
 
・製造年の古いTSから最新・ワンランク上位のTSへ!
 
 
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