建築工事測量【 座標塾 】【 TS 機能 】点検&調整



トップページ 誤差の原因 TSのススメ 動画で学ぶ! 反射シート原則論 必須グッズ
後方交会法とは 後方交会 初級07 後方交会 準備08 後方交会 誤差原因 後方交会 実践09 X差Y差・TS動画
 

 ★「チルトや 反転と180°」正反のズレ 修理に出す前に その場で簡単に調整できる

 
 
 TS-02 簡易点検と調整【角度編】
 
 
1. 正反チルトのバラツキがTS校正悪化の初期サイン
 
2. 電子気泡管 傾く原因を オフセット調整で解消!
 
3. 水平角と鉛直角の測角精度は 簡易点検で把握する
 
4. コリメーション補正 で半対回の測角精度は 向上
 




 
1. 正反チルトのバラツキがTS校正悪化の初期サイン
 
   チルト (電子気泡管) の傾きは 器械製準の鉛直軸と真の鉛直との差により発生し
 
   前後に傾くと鉛直角に影響し 左右に傾くと水平角に誤差が発生する
 
   点検調整直後の整備されたTSであれば 一応 全方向でチルトは安定しているが
 
   使用頻度や現場環境で 期間の違いはあれど その水準バランスは必ず崩れてくる
 
   社団法人日本測量機器工業会の推奨する校正周期は一年でも 工事現場では振動
 
   等の悪影響も加わるので 精度確保のため TSの校正状態に敏感である事が大事!
 
   推奨されている定期的な点検調整でなく 器械設置する際に 手軽に悪化の兆しに
 
   気付く事ができる点検 それはTS 整準時の方向別・チルト傾斜角のチェック!
 
   電子気泡管はアナログと違い 傾斜角が数値で表示されるので 一方向だけの整準
 
   だけでなく 約180°回転方向の傾斜角を点検すれば 不具合の兆候が感じ取れる
 
   水準悪化の初期サインを見逃さないために 整準の際は 正反の傾斜角に注視する
 
    チルトは10″以内を維持
 
    反チルトも都度点検する!
 
           ※ ↑ 2 画像 どちらもクリックで拡大できる
 
   ・・・ では「チルト悪化の兆候」に気付くための 判断基準と対処方法とは?
 
「チルトと測角(水平角と鉛直角)の補正 テーマ解説定義」
 
・器械に内蔵されている 自動補正機能 ON が前提の【点検と調整】について
 
 補正点検: 現在設定している補正量 (オフセット量) の適正を確認する行為
 
 調整不要: 現在設定している補正量の適正が確認でき 補正機能は良好と判断
 
 調整する: 補正量が限界に達したため 補正に適合した新値に更新する行為
 
 
2. 電子気泡管 傾く原因を オフセット調整で解消!
 
  観測条件-傾斜角補正
 
※ ↑ 画像クリックで拡大できる
 
   ※【設定】⇒【観測条件】⇒【傾斜角補正】⇒【あり (H,V) 】を確認しておく
 
   【傾斜角補正】は 自動2軸水準補正機構で 整準した鉛直軸の前後左右の倒れを
 
   検出し 自動的に真の鉛直に近づけて 鉛直角と水平角を補正する機能である
 
   これは 自動レベルの気泡が 円の中にさえあれば (中心からズレていても・・・)
 
   自動 2軸水準補正機構で 十字線 (読取り線) の傾きを水平に合せる機能と同じ
 
   「補正あり」の電子気泡管は【正反】傾斜角 平均値が ±10″以内 に補正される
 
   正反傾斜角誤差は 電子気泡管のゼロ点位置が 前後左右(XY)にズレる事で発生し
 
   やがて 補正限界を越え【正反】傾斜角の平均値が ±10″以内に納まらなくなる
 
   このズレ量の 調整を必要とするか 否かを判断するのが XYオフセット値であり
 
   この値の変化を見逃さないために 整準時に【正反】の傾斜角点検を習慣化する
 
   XYオフセット値は 正反の XY各傾斜角 合計の1/2 で算出 (XY正反の平均値)
 
   XとYのどちらか一方でも 平均値が ±10″を超えると 補正量・限界のお知らせ
 
   ※ 概ね 正が+なら 反が−となるので 迷わないよう 合計±20″で判断するもヨシ
 
    合計±20″を越えると 悪化が進行しないよう 補正量を改める調整 が必要となる
 
    点検時の [補正傾斜角の設定を改める行為] が [チルトオフセット調整] となる
 
       正反±で相殺例
 
             ※ ↑ 画像クリックで拡大できる
 
   「補正あり」なら ±1分以内の整準でもOKだが 実務では ±10″未満で整準する
 
   原則 全方向 10″未満の表示であれば 容易にチルトの校正状態が認識できる
 
   そして 外的要因で傾く事もあるので 一桁表示ならば 異常に敏感でいられる
 
  ※ 夏場のアスファルト、軟弱地盤、木の根元等 不安定な場所での点検は不向き
 
    振動や衝撃、直射日光、製準台や三脚の不具合等が 原因でない事にも留意する
 
  ◆ 全方向 ±10″未満の整準を原則とし 作業中の水準変化も 察知する
 
 
  ▼ チルト【正反】ズレても 良い限界は「電子気泡管の補正点検」で
 
    ・【正】傾斜角の XYが 0″で整準できたとしても 【反】次第では 調整が必要
 
    反チルトが悪化するば要補正
 
            ※ ↑ 画像クリックで拡大できる
 
   〇:【正反】傾斜角 合計が±20″以内 ⇒ 補正角設定は許容範囲内 調整は不要
 
   △:【正】が±10″未満の整準でも【反】で±20″前後が顕著であれば 調整する
 
   ×:【正反】合計が±20″を越えている ⇒ 調整する ⇒ [チルトオフセット] 実施
 
  器械定数設定メニュー  チルトオフセット
 
  ▲「設定メニューの器械定数」or「チルト液晶」から [チルトオフセット]
 
 チルトオフセット
 
★ チルトの正反誤差を 現場で簡単調整できる チルトオフセット調整
 
 
  ▼ チルトオフセット調整の手順・・・「補正点検から調整の是非」
 
   1.「設定メニューの器械定数」or「チルト液晶」から チルトオフセット選択
 
   2.【正】±1分以内の整準 ⇒【正】のXY 傾斜角データ取得し [AOK]
 
   3. 180°回転 ⇒【正反】の傾斜角合計が ±20″以内であれば [ESC] ⇒ 調整不要
 
         ⇒【正反】の傾斜角合計が ±20″を越えた場合 [BOK] ⇒ C画面
 
   4. 現在設定されている傾斜補正量と更新する新傾斜補正量の差を確認する
 
   5. Cの差がXY両方1分以内であれば [Dはい] ⇒ 現在値が新値へ更新される
 
     Cの差が一方でも1分を越えると [Dいいえ] ⇒ 調整が終了 ⇒ 修理に出す
 
   チルトオフセット測定例
 
※ ↑ 画像クリックで拡大できる
 
    [BOK] ⇒ C 現在設定の傾斜補正量と更新後の新補正量が表示される↓
 
   チルトオフセット補正量-結果例
 
※ ↑ 画像クリックで拡大できる
 
  ※ ↑画像のTSは 常に点検調整を手掛けているので 現在値との差は数秒 ⇒ [ESC]
 
    オフセット値合計±20″を越えた場合 現在値と新値との差は概ね 数十秒はある
 
   6. [Dはい] 新補正量の適正を点検 ⇒ 正反傾斜角 合計±20″以内なら 調整完了
 
                   ⇒ 合計±20″を 繰返し越える場合は 修理へ
 
   「補正あり」の電子気泡管は【正反】傾斜角 平均値が ±10″以内 に補正される
 
    補正限界 ⇒ チルトオフセット調整で補正傾斜角の設定を キャリブレーション
 
  ◆ チルトのズレは 修理に出さなくても 概ねその場で 調整できる!
 
   実は この傾斜角補正と後述 4.コリメーション補正の 調整が適正であれば
 
   半対回 (片面) の測角値が 対回観測値に 近づくよう補正される
 
   先ずは 整準毎の正反チルトチェックを怠らない (誤差の第一原因を潰しておく)
 
   測角精度は整準鉛直軸の倒れに影響を受けるので 傾斜角補正の適正が第一条件
 
   電子気泡管のゼロ点位置 X方向と Y方向 (2軸) が ズレると測角精度が落ちる
 
   ゼロ点位置の前後X は鉛直角に 左右Y は水平角の測角精度に影響をおよぼすが
 
   【傾斜角補正】が適正に機能すれば 自動的に鉛直角と水平角を補正してくれる
 
   ・半対回の測角精度には マメな「チルト点検と測角の簡易点検」が欠かせない
 
  ■ 【正反】チルト補正点検が OKなら ⇒ 測角の簡易点検を実施する
 
 
 
3. 水平角と鉛直角の測角精度は 簡易点検で把握する
 
   チルトの傾斜角補正で 製準鉛直軸の倒れによる測角誤差は補正されるが・・・
 
   陽炎や直射日光、振動等の外的要因を除き 水平・鉛直の測角誤差は 真の鉛直と
 
   器械の 鉛直軸や水平軸(面)・視準軸・光学部品等 様々な取付のズレが絡み合う
 
   整備が適正でも 真の鉛直と器械軸等の直交ズレを ゼロにする事は出来ないので
 
   少なからず 測角誤差が発生してしまうが 【コリメーション補正】が貢献する
 
   ▼ 測角精度が悪化した場合の具体的な例
 
   一直線の墨出し 正面を 0°セット・・・背面 (180°) の方向セットはどうする?
 
   背面方向は 望遠鏡 (レンズ) を180°回転させる? それとも反転させる?
 
   校正状態が良好なTSであれば どちらも一直線となるが 測角精度が悪くなると
 
   折線となってしまう (180°回転して 反転した視準が 元の0°方向とズレてくる)
 
   ちなみに 52mで ±20″の水平角誤差は 左右に±5mm のズレを生じてしまう
 
   実は 鉛直角も悪化している (正反 鉛直角合計=360°正解からの±誤差も拡大)
 
   ⇒ 座標測定値 (XYZ) もバラツキ始め 放射観測の墨出し精度確保が困難になる
 
   TSの校正は振動やホコリ等 過酷な基礎工での使用頻度が多いと 急速に悪化する
 
   それを放置していると 精度を要するアンカーセット等の許容値に対応できない
 
   測角精度は 真の鉛直と器械軸 (直交) 分度盤取付等の整合性が大きく影響する
 
   整合確認には マメな「前述のチルト点検」と「測角の簡易点検」が欠かせない
 
   よって 水平角と鉛直角の簡易点検を実施する前に【正反】傾斜角合計が±20″を
 
   越えていれば 傾斜補正量の設定を修正する チルトオフセット調整を先行させる
 
   チルト補正点検後 真の鉛直と器械軸等のズレによる測角誤差のクセを調査する
 
   【誤差の原因・TSのクセ】の距離同様 角度でも器械毎の誤差傾向はクセの一種
 
   その誤差グセを検証する目標物を設けて 正反で視準する簡易点検を実施する
 
 
    ◆ 簡易点検の目的は 測角誤差が拡大しないよう 設定補正量を見極める事
 
  反射シート視準レンズ越し  正反で視準するだけレンズ越
 
▲ 【正反】一対回で 目標物を視準して鉛直角と水平角の誤差を確認する点検
 
 ※ 自動視準・ATRカメラ (CCD) の点検ではないので プリズムでなくても OK!
 
簡易点検の点検値は鉛直角360°と水平角180°
 
▲ 鉛直角の正解は 正反の合計が360° 水平角は 反が正の角度+180°で正解
 
「チルトと測角(水平角と鉛直角)の補正 テーマ解説定義」
 
・器械に内蔵されている 自動補正機能 ON が前提の【点検と調整】について
 
 補正点検: 現在設定している補正量 (オフセット量) の適正を確認する行為
 
 調整不要: 現在設定している補正量の適正が確認でき 補正機能は良好と判断
 
 調整する: 補正量が限界に達したため 補正に適合した新値に更新する行為
 
   簡易点検を始業前のルーティンとし 目標物は 30〜50m程度での選定が適当か
 
   この距離は 放射墨出しの作業半径と測距に比例する誤差↓を考慮したもの
 
    ・距離 31m×測角±20″のズレは ±3mm ±10″でズレは半分の ±1.5mm
 
    ・距離 52m×測角±20″のズレは ±5mm ±10″でズレは半分の ±2.5mm
 
  ※ 距離が近過ぎると 目標点の絞り込みが緩くなり 視準誤差が拡散するので注意
 
   目標物の設置高は TS 水平ライン±5度以内の鉛直角に納まる程度を目安とする
 
   ちなみに 簡易点検の結果で コリメーション補正を調整する場合は 要注意!
 
     「目標物は ほぼ水平で 距離 約100m 測角許容誤差±20″以内」が基本
 
 
   ▼ 点検結果から補正量を調整するか 否かの判断は 下記参考 (角度表示単位 5″)
 
   〇:各点検値が±10″以内 ⇒ コリメーション補正が適正に機能 放射墨出しOK
 
   △:各点検値が顕著に±20″ ⇒ 点検距離を約100mにして再点検 ±20″以内 OK
 
   ×:約100m 再点検で ±20″を越える ⇒ コリメーション補正の限界か 調整検討
 
   ※ 調整を行う前に 必ずチルトオフセット値 (電子気泡管の校正) を再確認する
 
     チルトが不良だった場合 再度 100m点検を実施して ±20″以内なら調整不要
 
     再点検で ±20″を越える場合 コリメーションの補正量を調整する
 
   ▼ 点検目標物には 照準が明瞭な物を (器械点・後視設定の点検用にも兼用可)
 
  反射シートはマグネットで利用  壁やテープに十字線を記入
 
  遠目の視準はカラーマグネットが明瞭  カラー看板は黒色十字線の視準が明瞭
 
※ ↑ それぞれの画像クリックで拡大できる
 
  ★ 放射観測による墨出しは 測角精度の維持 (マメな点検&調整) が肝
 
 
4. コリメーション補正 で半対回の測角精度は 向上
 
   墨出し等では 基準点測量には縁がなく 近年では片面操作盤 (省エネ) TSも多い
 
   主に半対回 (正のみ) の工事測量で反転するのは精々 前述一直線の墨出しぐらい
 
   デジタル器機の信者は デジタル表示の角度に 全く疑いを持たないので 反転と
 
   180°視準で ズレが発生している事などには「無関心」である事が多い・・・
 
   近年のTSは 補正機能があるので その調整が適正であれば 無関心でもいられる
 
   今回テーマの 傾斜角補正とコリメーション補正効果で 測角精度は向上している
 
   ±1分以内の整準で 製準鉛直軸、器械視準軸・水平軸・分度盤取付等の誤差を
 
   自動補正して 半対回 (片面)の測角値が 対回観測値に 近づくよう補正される
 
   よって 半対回の工事測量では 前述の傾斜角補正とコリメーション補正が必須!
 
  観測条件-傾斜角補正+コリメーション補正
 
※ ↑ 画像クリックで拡大できる
 
  ※【設定】⇒【観測条件】⇒【コリメーション補正】⇒【あり】を確認しておく
 
   前述 測角の簡易点検の結果で コリメーション補正の調整が必要となったら↓
 
 コリメーション補正
 
 ▲「設定メニューの器械定数」から [コリメーション]
 
簡易点検の結果で コリメーション補正を調整する場合は 要注意!
 
※ 調整は 正確に実施 しないと
 
      間違った補正 をしてしまう危険性 (更に悪化) がある
 
コリメーション「補正の調整」における注意点
 
・目標物は ほぼ水平で視通良好 陽炎が発生してない状況で観測する
 
・目標物には 照準が明瞭な物を選定する (プリズムでない方が良い)
 
必ず 傾斜角補正の点検 (チルトオフセット)簡易 再点検 を済ませておく
 
・気温が安定している時間帯で 器械を外気温に馴染ませ 片面直射日光はさける
 
・振動等がなく 製準台や三脚 (ネジの緩み) 等の不具合がない事にも留意する
 
  ▼ コリメーション補正の調整方法
 
   目標物は ほぼ水平で 陽炎なしの距離 約100m 測角許容誤差±20″以内 が基本
 
   目標物の距離以外は 前述の 3.簡易点検の作業と同じ一対回の測角を実施する
 
   その結果得られた下記のコリメーション測定値を [はい] 選択で調整は完了する
 
   EL:チルチング軸 (水平軸)の直交線と光学視準軸との間に生じる水平角誤差量
 
   Vオフセット:鉛直角のエンコーダー(分度盤)の取付オフセット量
 
 
お問い合わせ 誤差の原因 TSのススメ 動画で学ぶ! 反射シート原則論 必須グッズ
Copyright © 2017    ★ 簡単!【 座標塾 】 トップページへ戻る ★    All rights reserved.
【 2025年も 更新 ing の仮配信中ですが・・・ 今年は 訪問して頂いた方の求める情報が より伝わり易い仕組を構築したいと思います!】 by 内由