1. 器械点の高さ設定 ▽IH 算出手段を理解する

※ IH (instrument height) は 機械高マークのZ値

◆ 高さの測設とは 主に施工で求める計画高と観測値とのZ差を求める測定
・ Z値の観測を開始するためには 先ず 高さの基準点を選定し TS搭載 標準
プログラムの「座標測定 or 杭打ち」の 器械点設定にて IHを設定する
三次元になると「視準高」が前視に連動してくるが IH設定では関係なし
※ 視準高は 前視の計算シフト量で その都度 (観測前後で) 変更できる
(前視とは 未知の点を測る視準 後視とは すでに分っている点の視準)
・ Z値測定のみなら IHの設定だけでいいので (X,Y) は無視して IHの設定
完了「OK」⇒「後視設定」もスルーして「座標測定や座標設定」へ進む
■ IH の算出手段は「器械点 Z」と「器械高」の入力だけ?
・ 取説では 器械高は TS設置点からの寸法と図説 (通常コンベックス計測)
「器械高はコンベックス計測値の手段 @ のみ」と思っている人へ・・・
選定した高さ基準点の「 場所」に TS が設置できなくても 器械高の
「 測定方法」が変わるだけで 実は IH の算出式は変らない ⇒ 手段 A
「器械高」表示に惑わされず 「高さ基準Zからの高低差」と解釈すれば
「高さ与点」の選択肢も増え 「任意点から 高さを測る」発想も生まれる
◆「器械高は コンベックスで測る寸法」の固定概念を捨てて
IH は「高さの基準値 Z」+「Z値からの高低差」と解釈
※ 算出手段 @は座標測定の基本形 手段 Aは 取説にはないが 勝手がいい
更に 「任意点とXYZ 三次元」がお望みなら「後方交会の一手」もある
2. 手段 @は 間接水準測量の定番だが 建築では不要


◆ TS設置点の高さZ値を「器械点 Z」へ入力し そのZ値から機械高マーク
までの 高低差を「器械高」へ入力 ⇒「OK」で IHのみの 器械点設定完了
器械高はコンベックスで測定する (土工であればmm単位切捨てでもOK)
※ 視準高は IH設定では無関係 前視で その都度 (観測前後で) 変更できる
・ 間接水準とは TS にて高さを測定する事で mmまでの精度は望めない
測量設計コンサルでは 平面独立標高・地形測量や断面測量等で実施し
土木工事では 高低差のある のり面や造成工事の切盛り丁張に不可欠
オペさん一人の掘削床付けなど ノンプリを活用すればワンマンでも可能
ちなみに レベルと標尺にて高低差を観測するのが 直接水準測量デス
建築工事で mm の水準精度を要する場合は やはり直接水準測量で行う
・ 間接水準測量は主に 土工事での活用となるが 高さだけなら (X,Y) は
関係ないので レベル同様に 任意点から始めたい ⇒ 手段 @は不要
そこで 任意点で 素早くIH設定の準備が整えられる手段が必要となる
「器械高」は「高低差」の解釈で「 与点の選択肢」を増やす ⇒ 手段 A
3. 手段 Aは 任意点からBMとの高低差を観測し算出

※ BM (Bench Mark) は 高さの基準 (水準) 点
通常 1FL (1階フロアー面) を±0.000 柱や壁に+1.000が設置される

▲ FL+1.0m に 反射シートを貼付ければ 任意点のTS でも IHは設定可能
(反射シートを使う発想が無ければ TSで観測する発想も浮かばない)


◆ BMと目標エリアの視通が良好な場所で TSからBMまでの高低差を観測
その高低差を ± 逆 (BMからTSまでの高低差) にして「器械高」として
入力 すれば 手段@と同様に BMの高さ Z値に累積され IHは算出される

上記画像の場合 ▽IH = (1.000+ 視準高 0) - (+0.363) = 0.637
★「器械高」には「高さ基準Z値からの高低差」を入力する
⇒ ただし 必ず 高さの既知点 点検で IH設定の整合性 を確認
※ 反射シートで高低差を測定する場合 上下左右の入射角には 要注意
ノンプリでも高低差は 観測できるが 入射角や特に視通障害物との接触
誤差の危険性を考えれば BMの後視は 原則 反射シートモードで観測する
前視で障害物がなく 観測対象が土工箇所であれば ノンプリ観測でもOK
(前視とは 未知の点を測る視準 後視とは すでに分っている点の視準)
・ 任意点からBM 観測のIH 設定は 回転レーザーレベルの準備ほど 時間は
必用ないので 高低差がある場合は特に TS からの高さ出しがおススメ!
更に 柱や壁のBMに縛られず 土木式の「地上の水準点」も設置 活用しよう
● 地上の水準点 Z値端数でも +視準高と高低差で算出


▲「鉛直は必須」スタッフにも 必ず気泡管を添える
・ 建築工事では有り得ない地上の水準点や端数のBM・・ ・ 恐れる事はない
BMの高さZ値に視準高を加え TSで観測した高低差を± 逆 で累積するだけ
BMと観測値が端数でも 100mm単位の視準高であれば 暗算で入力できる
「高さの基準Z値 + 視準高」と「高低差」を入力すれば IHは算出できる
▽IH = (BMのZ値 + 視準高) - (TSから視準点までの高低差)
⇒ ただし 必ず 高さの既知点 点検で IH設定の整合性 を確認
※ 点検時の視準高 入力更新や勘違いに要注意! (ここでよく間違える)
・ 柱や壁がなくても 沈下の恐れが無い所で 期間限定なら 土木式「スタッフ
による地上のBM」がどこでも設置できる (BM用に単管を打込む必用なし)
コンベックスを気泡管付きスタッフに持ち替えれば 選択肢は広がる
土木式 水準測量の技術を学ばない手はないが 若い監督さんに スタッフを
勧めると「こんな気持ち悪いものは使えない 何でmmまで読める?」と
・・・ 土木工事をナメてはいけない 1/1000勾配の側溝もスタッフで測量
コンベックスでは出来ないひな壇の建物でも FLの設置ができるようになる
4. 任意点で 三次元なら 後方交会の (X,Y,Z) 設定

▲ 器械点Z値も求めるので 標準プログラムでは 先に器械点設定の器械高を入力
(この場合の器械高は 手段@ のTS設置点までのコンベックス測定値)
※ ↓ 4 画像すべてクリックで拡大できる

▲ 既知点にZ値があれば 三次元・後方交会は可能! 先ずは既知点登録

▲ 視準高は 既知点の観測毎(後)に 最終変更可能 ⇒「計算」で結果表示
・三次元の後方交会は 意外と簡単にできる 「標準プログラムの後方交会」で
既知点を登録し 順番に観測するだけ ⇒ 「計算」で結果発表 (↓画像参照)
任意点のZ値は 既知点Z値・観測高低差の平均値と器械高で逆算される
器械高は器械点設定で入力している値が連動して 計算要素となっている
・高さ測定で よく間違えるのは 視準高の入力・・・ ヒューマンエラー
特に多いのが 変更した場合の未修正 だから ファイナルアンサーがある
既知点観測以外でも Z値は視準高が絡むので その都度 「入力呼称」で防止

▲ 【 結果・実例 】 ↑ ↓ 4 画像すべてクリックで拡大できる
▼ 任意点 (X,Y,Z) の設定できたら 通り芯と高さの位置出しが 同時にできる

・座標測定 初心者の人には 比較的時間と精度に余裕のある着工時が おススメ
基礎工事等で 「X差Y差+Z差の杭打ち」機能を役立てる 絶好のチャンス!
※ 基礎土工事までなら 許容範囲も広いので 角度精度 5″のレンタル器でトライ
5. 高さの測設は 計画高を入力 ⇒ 測定で Z差が表示
・ IH設定が整ったら 高さの 位置出し (測設) デス!
高さだけなら「後視設定」はスルーして「杭打ち」機能の [座標設定] へ
※ ↓ 3 画像すべてクリックで拡大できる

▲ 杭打ち・座標登録の [追加] ⇒ [目標点・座標入力] で計画高を [座標Z] へ

▲ あとは「X Y Z」モードで 目標箇所を (土工ならノンプリで) 測定する
すると 計画高との Z差を「数値と上下方向」で表示してくれる

▲ 視通障害等で視準高を変更した場合は その都度 更新する事を忘れない様に
6. ノンプリと反射スタッフを有効活用しよう


▲ 土木工事では 三次元座標測定とノンプリズムが重宝する

★ 普通のスタッフの5倍前後する高価品だが 役に立つ
※ 反射スタッフはとりあえず 1本あれば何かと重宝する
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